自滅するアメリカ帝国 崩壊のシナリオ(伊藤貫氏)、ザ・リアルインサイト3月号

 題:自滅するアメリカ帝国 崩壊のシナリオ(伊藤貫氏)、ザ・リアルインサイト3月号
...(真を求めて 皆様とともに幸せになりたい)
.
 標題のYou Tubeがあった。
 16分47秒のものだったが、何度も聞き、下記に文におこ
した。
 標題があまりにも過激であったので興味をひいた。
 URLは下記であるので是非ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=_5uUlM_w0_4
.
You Tubeの題:自滅するアメリカ帝国 崩壊のシナリオ(
伊藤貫氏)、ザ・リアルインサイト3月号(16分47秒)
 収録実施日は、2014・3・12
.
伊藤貫氏:(いとうかん、1953年~)日本の評論家、国際
 政治・米国金融アナリスト、政治思想家。東京都出身。
 東京大学経済学部卒業。コーネル大学で米国政治史・国
 際関係論を学んだ。その後、ワシントンD.C.のビジネス・
 コンサルティング会社で国際政治・米国金融アナリスト
 として勤務。アメリワシントンD.C.在住。国際政治学
 に通じており、19世紀ヨーロッパにおける、勢力均衡を
 目指す古典的な外交術を現代によみがえらせようと努め
 ている。
内容:
司会:ちょっとお伺いしながら何点かお聞きしたい事が出て
 きたんですが、アメリカで先程おっしゃったCIA(中央情
 報局)とかペンタゴン対して影響力のある学者は、バラ
 ンス・オブ・パワー(勢力均衡)をしてきなさいと言っ
 て来た一方で、ジョセフ・ナイだったり影響力がないに
 もかかわらず、実体としてオバマの前までは、アメリ
 の一極覇権ということを続けようとしてきたわけですよ、
 それは何でなんでしょうか?
伊藤氏・それはね、露骨に言っちゃいますと、17・18・19
世紀にバランス・オブ・パワー外交が出来たのは・・本当
のことを言っちゃいますね、民主主義でなかったのですよ、
 ほとんどの国は、もう一つのことは、当時は、王様とか
貴族とか外交官とか、それから上級の軍人とかが、30人か
40人が集まって、議論して結論が出ればそれですんだわけ、
 ヨーロッパは、それはどうでもいいと、要するに、言っ
ちゃいけないことなんですけれど、17・18・19世紀の本当
のグランド・ストラテジーの決定というのはね、国民は参
加していないのよ、
 民主的な政治家も参加してないわけで、
 だから、何処の国と戦争すべきだとか、どのくらいの軍
事力を持つべきだというのは、先程、言いました様に30人
か40人の、王様と、貴族と、外交官の大物と、軍部の主導
者の、30人か50人くらいが集まってしゃべって、それで決
まったわけ、  
 ところが、面倒な事にと言うか、やっかいなことに、
 20世紀になってから、良いか悪いかは別として、
 マスコミと民主主義、マスコミと民主的な政治家にとっ
て、いちばん簡単なのは、我が国こそ正義である、我が国
こそ理想的な国際秩序を作るのである・・と、
 それに比べて、我が国に対立するあいつらは悪い奴らだ
と、
 要するに、何時も自分たちが正しくて、自分たちの外交
政策と、国際政治の理念が正しくて、自分たちに対抗して
くる国は、道徳的に劣っていると、
 先程、言いました様に、これってアンチ・ウエストファ
リアな訳なんですよ。
 ウエストファリアの精神と言うのは、バランス・オブ・
パワーを維持しましょうと、
 そして、他の国の国内政治に干渉するのはやめましょう
と、
 他の国の過酷な政治に悪口言ったってしょうがないとい
うのが、ウエストファリアの精神です、
 ところが、20世紀になって、要するに、マスコミは、他
の国の悪口は言うし、政治家だって当選したかったら皆、
ほかの国の悪口を言う訳です、
 それに比べて、我々はこんなに立派な国なんだと、
 そうすると、国民が外交政策の決定に参加するとか、ジ
ャーナリストがワーワー世論を作って外交と軍事政策が左
右されると、そんなにいいことではないのです、
 でね、その最先端を走っているのがアメリカです、
 で、ぼくはアメリカのマスコミ人と付き合ったことがあ
るんですけど、全然勉強してないわけ、 
 でね、アメリカの新聞記者にしたって、放送記者にした
って、日本のマスコミ人と同じで、皆、偉そうなことを言
うのよ、
 そんなら国際政治学とか、マクロ経済学とか、核政策理論
とか、勉強したことあるのか・・と、
 全然してないわけよ、それって日本のマスコミ人とそっ
くりね。
 で、そういう連中がワーワー騒いでね、これがアメリ
の正義だとか、アメリカが理想的な国を作るんだとかね、
 それからフランシス・フクヤマとか、ジョセフ・ナイが、
あれだけ人気があるのは、マスコミ人にとって嬉しいわけよ、
 アメリカの民主主義と、アメリカの自由主義と、アメリ
カの資本主義が、世界中を包み込んで、今やアメリカの時
代が来たと、
 アメリカは、単にハードパワーを持っているだけではな
く、ソフトパワーを持っているから、
 世界中の人が皆、うれしがってアメリカの真似をしよう
としていると、
 ジョセフ・ナイって、そうでしょう、
 アメリカは、ソフト・パワーを持っているから、世界中
アメリカの真似をするのだと、
 これって、アメリカのマスコミ人にとって、とっても都
合がいいわけ、
 しかも、アメリカのマスコミ人って、ほとんど馬鹿ばっ
かりだから、そういうことを言われるとうれしいわけよ、
 ジョセフ・ナイが、こう言っていると書き散らすわけよ、
 そうするとそこで、要するに先程言いました様に、スコ
ークロスとか、ウォルツとか、ミヤシャイマーとか、ハー
バードのウォルツとか、ハンティントンとか、
 ああゆう非常にもう、深い学問があって、それで実直で、
地に足の着いた、きちんとした、要するに、成熟したバラ
ンス感覚のある議論をする戦略家と言うのは皆、ブラッシ
ャーサイド、横に弾(はじ)き飛ばされて、
 マドレーヌ・オブラバイトとかね、ジョセフ・ナイとか、
フランシス・フクヤマとか、もうマスコミ受けする議論を
する人が、影響力を持つようになると、
 そうすると、政治家はどうするかと言うと、皆、合わせ
るわけ、
 だって、次の選挙に落選したら困るから、マスコミがち
やほやしている連中に合わせて自分も言うわけ、
 しかも、もっとはっきり言っちゃいますと、
 日本の国会議員にしても、アメリカの連邦議会の議員に
しても、そんなに勉強している人でないですから、皆、所
詮、新聞と雑誌読んでね、こういうことを言えば、みんな
が納得してくれるらしいと、そう思って、政治家商売やっ
ているだけで、本当に勉強してからやっているわけではない、
 そうすると、ジョセフ・ナイとか、コンドリーザ・ライ
スとか、スーザン・ライスにしても、フランシス・フクヤ
マにしても、もうマスコミに受ける人が、イニシアティブ
を握ってしまうのです。
 だけど、それって言うのは、アメリカにとって不幸なこ
とだし、国際政治にとっても不幸なことだし、
 話を元に戻しますと、2003年のイラク戦争ね、
 あれ、国際法違反の侵略戦争だったんですけれども、
 あれって、御存じのように、やったのはネオコンサバテ
ィズムと、
 ネオコンと言うのは元々、古い話なのですけれど、1940
年までは、トロツキストだったわけです。
 これ人種偏見は、まったく別として、本当のことを言い
ますけれども、
 ネオコンの主要なメンバーと言うのは、ほとんどがユダ
ヤ人なのです。
 これは、みんなが知ってて、だけど、これを言うと、ユ
ダヤ人差別だと嫌われるから、僕もなるべく言わない様に
しているのですが、
 1940年までのネオコンの連中と言うのは、ユダヤ系の知
識人で、皆、マルキシストだったわけ、
 それで、トロツキー主義を支援していた、
 彼らのおじいさんとか、お父さんとかという世代と言う
のは、皆、ロシアから逃げてきたユダヤ人なのよ。
 そうすると、ロシアから逃げて来たユダヤ人だから、ロ
シアに恨みがあるのよ。
 帝政ロシアに、ロマノフ王朝時代の、
 すると、それをぶっ壊したロシアの共産主義というのは
うれしいわけ。
 だから、アメリカに移民してきたロシア系のユダヤ人と
言うのは、皆、レーニントロツキーに拍手したわけ、
 この連中は、1940年代ぐらいに、ネオコンサバティブの
元になるトロツキストを作ったわけね。
 このトロツキストグループが、1960年になると、トロツ
キーとマルクス主義から、ちょこっとセンターの中央の方
に来て、ケネディを、ジョン・F・ケネディを、今のキャロ
ライン・ケネディのお父さんを支持する民主党のリベラス
派になったわけよ。
 だから、20年後には、元の共産主義の連中、マルクス
義の連中は、民主党の左派になっているわけね。
 いちばん有名なのが、アーヴィング・クリストルという
奴なんですけれども、
 今、活躍しているネオコンの有名な言論人のお父さんな
んですね。
 アーヴィング・クリストルと言うのは、ケネディを支持
する民主党のリベラル派になったわけ。
 なんとその20年後の1980年には、レーガンを支持する共
和党の右派になっていたわけ。
 本当の話(笑い)、20年ごとにホイホイ変わるわけ。
 それで、この連中は、対ソ強硬策、
 1940年にしても、1980年にしても、一貫しているのは、
これらユダヤ人にはソ連に対する恨みが残っている。
 言っちゃーいけないんだけど、本当の事だから言います
けれどもね、
 僕はユダヤ人に対して偏見を持てとかと言っているので
はなくて、ファクト・イズ・ファクト、事実を言っている
だけなのだから、
 で、この連中は、ジミー・カーターは弱腰だと、
 それに比べてロナルド・レーガンは、ソ連に対して立ち
向かおうとしていると、
 そういうんで、1940年代には、トロツキーの集団だった
連中が、1980年になったら、レーガンを支持する共和党
右翼になっていたと。
 その右翼の連中は、ブッシュの息子の世代になると、い
わゆるネオコンサバティブに、ネオコンね、
 この連中が何を言ったかと言うと、要するに、アメリ
を使ってイラクを占領させると、
 イラクに巨大なアメリカの軍事基地を作ると、
 それで、アメリカが、要するに、イラクをドミネイト・
属国にして、巨大な軍事基地を作ることによって、シリア
レバノンとイランに睨(にら)みを利(き)かせると、
 そうすると、アメリカが、イラクを占領して、アメリ
の属国にすると、一番喜ぶ国はどこでしょうと・・、
 イスラエルでしょう。
 とにかく、アメリカが、中東を軍事的に抑圧して、圧倒
的に支配すると、一番得する国はイスラエルでしょう。
 だから、あの連中は2003年にね、そういうことを言い出
したわけ、
 だけど、ネオコンの連中は、さすがに、そういう本音は
言えないから、
 今こそ民主主義と自由主義自由経済システムを、中東
に広げるチャンスだと、
 今、アメリカが動かないと中東は絶対に良くならないと、
 ウイルソニア的な、綺麗事を言ってイラクを占領したわ
けね、
 だけど本音は、要するに、はっきり言っちゃいますけれ
ども、
 イスラエルにとって得な訳ですよ、それやると、
 で、だから、先程言いました様に、ケナンなり、ウオル
ツなり、ハンティントンなり、スコークロストね、それか
ブレジンスキーね、こういう有名な、しかも、立派なま
ともなリアリストは、全員、2003年のイラク戦争に反対し
ていますよ。
 だから、あのー、ちょっと日本の方が誤解されているの
は、リアリスト派は、バランス・オブ・パワーを支持して
いるからタカ派だとかね、保守派だとか、
 だから、ネオコンだってタカ派と保守派だと思っている
でしょう。
 でも、日本の多くの人はね、リアリストとネオコンは仲
がいいと思っている、
 いやいや、もの凄く仲が悪いわけ、
 僕は、ワシントンに住んでいるからよく見えるんですけ
れども、
 東京から見ていると、両方とも保守派でしょうと、
 (何が何だかわからないの司会者の言葉)、
 そうそう、本当に仲が悪いですよ、リアリスト派とネオ
コンって、
 (司会者の声)
 (イラク戦争に進めてきたのは)ユダヤだけでないし、
 もう一度言いますけれども、そういう、子供みたいな理
想論を持ち出して、それを世界に押し付けようとするのは、
これはアメリカ人の癖なんですよね、
 だから、全部がユダヤのせいかと言うと違います。僕は
そうは言っていないわけ、
 一番いい例がね、1989年と1900年に、ジョン・ヘイと
いうね、国務長官が、中国に対して、オープンドアポリシ
イと、門戸開放宣言と言うのをやったわけですよ、
 何かと言うと、ジョン・ヘイの三条件といって、要する
に、日本も、ロシアも、ヨーロッパ諸国も、ジョン・ヘイ
のオープンドアポリシイの三条件を守れと、
 その三条件とは何かと言うと、
 中国の領土保全と機会均等、要するに、いろんな国が平
等な条件で商売できるようにしようと、
 そしてもう一つがオープンドアね、
 要するに、フリートレードね、
 要するに、俺達に商売させろと、
 アメリカ人のほとんどは、何と言う立派な政策だと(拍
手した)、
 中国に対してね、
 ヨーロッパと日本とロシアが食い物にしようとしている
のに、われわれアメリカ人は、こんなに理想主義的で、要
するに、中国の領土保全と機会均等、こんなに立派な理想
主義を広めようとしていると、皆、拍手したわけね、
 だけど、すごく滑稽なのは、その前の年ね、
 その門戸開放宣言をやった前の年ね、
 アメリカは、米西戦争をやっているわけ、
 米西戦争をやって、スペインからキューバとフィリピン
をもぎ取ったわけよ、
 米西戦争をやる時、アメリカは、フィリピン人に独立さ
せると約束しておきながら、一旦、フィリピンを取ったら、
独立させるという約束を、あっという間に裏切って、
 (フィリピン人の)独立派を、20万人か、30万人を殺し
ている訳ですよ、
 1898年に、フィリピンを軍事占領して、
 独立を願うフィリピン人を、20万人~30万人殺してね、
 要するに、1899年もね、殺している最中な訳、
 フィリピンを自分たちの植民地にしようと思って、フィ
リピン人をいっぱい殺している最中に、日本人とか、ロシ
ア人とか、ヨーロッパ人とかには、ジョン・ヘイの三原則
とか、領土保全とか言っているわけですよ、
 これって、おかしいでしょう、
 フィリピンでめちゃめちゃな事をやっておきながら、
 アメリカ人って、そういう人たちで、要するに、フィリ
ピンでめちゃくちゃやってても、他の国に対してものすご
く立派な事を、我こそ理想主義者という態度でお説教をす
るわけね、
 僕は、ワシントンに長く住んでいて、いつも思うんだけ
ど、アメリカ人は、そこを矛盾していると思わないわけ、
 都合の悪いことはもう、気がつかないふりをすると、
 で、そういうのを分からないと、2003年にイラクに攻め
込んで行って、我々は、国民を、サダム・フセインの圧政
から解放するためにイラクを占領してやったんだと、そう
いう風に恩着せがましく言っているわけでしょ、
 それは、ヨーロッパ人から、そして、日本人から言うと、
何おまえ、そんな恩着せがましいこと言っているんだと、
 だけど、アメリカ人は本気で思っているし、もっとはっ
きり言っちゃうと・・、(終り)
.
(参考)CIA:中央情報局、対外諜報活動を行なうアメリ
の情報機関、
(参考)ジョセフ・ナイ:1937年~、アメリカの国際政治
学者、バーバード大学教授、アメリカ民主党政権でしばし
ば政府高官を務める。知日派
(参考)グランド・ストラテジー:外交の巧拙は,交渉を
指導し,これに従事する者のかけひきの術に依存するのみ
ならず,彼らの,彼我の相対的力量を冷静に測定し,交渉
をめぐる国際・国内環境を現実的に把握し,大局を見すえ
て緻密に駒を進める能力に依存する。 〈グランド・スト
ラテジーgrand‐strategy〉をもって,外交を進めることも
成功の要諦であろう。最近においては,アメリカのキッシ
ンジャー外交を,〈グランド・ストラテジー〉にもとづき,
見事な成功をおさめた例としてあげることができる。…
(参考)ソフト・パワー:軍事力や経済力などの強制的な
ハード・パワーと対置する概念であり魅力によって望む結
果を得る能力である。ソフト・パワーは国の文化、政治的
理想政策の魅力によって生まれる。
(関連)ウェストファリア:ラテン語読みでウェストファ
リア条約とも呼ばれる。近代における国際法発展の端緒と
なり、近代国際法の元祖ともいうべき条約である。
(参考)コンドリーザ・ライス(1954~):ブッシュ(息
子)政権で大統領補佐官、女性として二人目の国務長官
歴任。現在、スタンフォード大学教授
(参考)スーザン・ライス(1964~):クリントン政権
国務次官補、オバマ政権で米国国連大使を歴任。現在は、
大統領補佐官
(参考)ネオコンサバティズム:米国の政治的思想の一つ
タカ派。その原型は、戦前までは左派であったが戦後リ
ベラル派(中道左派)を経て保守へ転向したため「ネオ」
を新保守とし旧来保守と区別している。
(参考)トロツキー主義:ロシアの革命家トロツキー(ユ
ダヤ人)の理論。永続革命論の立場からスターリンらの一
国主義に対して、プロレタリア世界革命なしには社会主義
の勝利はあり得ないとするもの。
(参考)アーヴィング・クリストル(1920~2009):米国
の評論家、思想家。ユダヤ系の知識人であり、左派思想か
民主党リベラル派を経て共和党保守派へ転向。ネオコン
創始者と考えられている。
(参考)ジョン・ミルトン・ヘイ(1838~1905):ウィリ
アム・マッキンリー、セオドア・ルーズベルト両政権で国
務長官を務める。1899年中国に対して門戸開放・機会均等・
領土保全の三原則を列強各国に示した。