もうすぐ私もベリー摘みに行くよ。

 題: もうすぐ私もベリー摘みに行くよ
...(真を求めて 皆様と共に幸せになりたい)
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 キリスト教の聖書は、神の言葉だという。
 そして、世に、「本当に神の言葉なら書き採(と)る事も出
来ないし、記述する事も出来ないし、ましてや、翻訳などもで
きない」という言葉がある。
 翻訳によって『翻訳者』という人の意思が入ってしまう」し、
 また、『筆記者』の意思も入ってしまうし、
 「どうも、この言葉が正しい」らしい。
 キリスト教は、その神の言葉を記したという聖書を、信仰の
根本において、信じている。
 その聖書に、福音書という記述書が、複数あるが、
 これ等は『ギリシャ語』で書かれている。
 マルコが書いた、マタイが書いた、ルカが書いた、そして、
ヨハネが書いたとも言うから、
 その人たちの人間が書いたと言っているから、
 その人間の頭の中にあるものが、筆記されているのだろう。
 イエスは、「アラム語」を話した。
 そして、前記のマタイなどの福音書を書くにあたって、
 「G資料」などという資料を見ながら書いたと言われているが
(今は「行くへ不明」になっている資料)、
 また、これらの資料も別の言語である。
 聖書になるまでに数々の「言語の橋を渡り、意思の川を渡り」、
 翻訳や、その資料からの人間の恣意的(しいてき)な意思の
選択が入った資料部分の選択作業がある。
 (参考)しい‐てき【恣意的】 [形動]気ままで自分勝手な
さま。論理的な必然性がなく、思うままにふるまうさま。「―
な判断」「規則を―に運用する」
 そして、その様に、人間の意思の橋を渡って出来た『キリス
ト教聖書原典』を、ここからさらに、翻訳して、各国の人が読
める形へ「かたちを変える」という作業もある。
 神の言葉や意思は、どこかへ飛んで行く・胡散霧消している
とも、少なくとも、神の意志とは変わっているものが、『聖書』
としてある、存在している。
 関係することを、日本経済新聞から、その点について見てみ
よう。
 今、『世界で失われる言葉』があるという。
 そこに「翻訳できない言葉の叡智(えいち)がある」という。
 本『亡びゆく言語を話す最後の人々』(K・ディヴィッド・
ハリソン著、原書房
 (参考:日本経済新聞 2013・6・16)の『書評』を見た。
 書評の筆者は、文化人類学者の今福龍太氏である。
 [書評]・(抜粋):著者は、地球上で失われつつある言語が
集中する「言語のホットスポット」に赴き、
 「最後の話者たち」の言葉と語りを記録する作業を続けてき
た行動派の言語学者である。
 一つの言語の死とは、僻地(へきち)に住む話者の言語の消
滅という局地的な『余所事(よそごと)』ではない。
 たとえば、生物種の消滅と言語の消滅の間にある相関関係は
とても示唆的だ。
 未知の生物種が記録されぬままに消えているように、
 言語もまた知られぬままに消えようとしている。
 そして、そうした科学的に特定されていない生物種とその生
息地についての甚大な知識を有しているのが、まさに、
 危機に瀕(ひん)した言語の話者たちなのである。
 ならば彼らの言葉の消滅とは、
 自然界について人類が持っていた豊かな智慧(ちえ)が失わ
れていくことを意味する。
 ボリビアのカラワヤ族の持つ薬草に関する驚くべき知識。
 アラスカのユピク族が99種類の海水の形状を言い分ける繊細
な表現。
 シベリアのトファ族がトナカイの群れを識別するときの魔法
のような呼び名。
 他言語には翻訳できない言語的な叡智(えいち)、繊細なコ
トバの陰翳(いんえい)あるリズムが本書から聴こえてくる。
 そのとき、それらの言葉も私たちのかけがえのない一部なの
だ、と私たちは確信する。
 言語は私有するものではなく、分かち合うものなのだ。
 こうした理解は、「最後の話者であること」を引き受け、
 それを他者と分かち合う人々がいるという現実を知ることで
深められる。
 言語学者と協力して言葉の現状を記録してゆくためには、
 他者と共有できる言語の習得もまた、
 智慧の媒介として決定的に重要だった。
 「最後の話者」であるためには、現代の多言語的な現実にむ
かって参入してゆく勇気も必要だったのだ。
 トファ語の最後の話者である老女は言った。
 「もうすぐ私もベリー摘みに行くよ、そのときはこの言葉も
一緒に連れていくさ」。
 たとえトファ語の話者が消えても、
 「死」という観念を「ベリー摘み」という具体の言葉で言い
 表す人々の持つ智慧を、私達はもう忘れることはできなくな
る。(感想):美しい言葉で綴った、つづられた書評だ。内容
の豊さも嬉しい。
       (詳しくは、以下のブログに)
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