笹子トンネル崩落事故に関連する「接着に大切なぬれ(濡れ)」について

題 : 笹子トンネル崩落事故に関連する
         「接着に大切なぬれ(濡れ)」について
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☆接着のメカニズム
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 接着とは「接着剤を媒介とし、化学的もしくは物理的な力、
または、その両者によって二つの面が結合した状態」と定義さ
れます。
 この定義に至る迄には、永い歴史がありました。
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 さて、次に接着のメケニズムについて簡単に説明します。
 接着機構には 
 1.機械的結合
 2.物理的相互作用
 3.化学的相互作用 の三つがあり、
 機械的結合とは、アンカー効果とか投錨効果とも言われ、材
料表面の孔や谷間に液状接着剤が入り込んで、そこで固まるこ
とによって接着が成り立つと言う考え方です。
 木材や繊維、皮等の吸い込みのある材料の接着を説明するの
に有効です。
 物理的相互作用とは分子間力(ファン・デル・ワールス力)を
いい、二次結合力ともいって接着剤の
 基本的原理とされています。
 三つ目の化学的相互作用とは、一次結合力と言って最も強い
接着力が期待される共有結合や水素結合を言います。
 即ち「接着」とは、機械的な引っ掛かりや分子間力、原子間
力によって成り立っており、そのどれかに原因を絞り込むこと
ができない複雑さを持っています。
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☆接着のプロセス
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 接着の原理から言えば接着剤と被着材はその分子間力の及ぶ
範囲に接近していなければなりません。
 ここで「ぬれ」と言うことがだいじになります。
 油の上に水を落としても水は拡がりません相溶性(親和性)が
悪いからです。
 相性がよく、馴染みがよい時に「ぬれ」が起り、そこに分子
間力が働き接着が可能になるのです。
 ポリエチレンやポリプロピレンは油のような性質をもってい
るために接着が困難と言うわけです。
 接着剤は、被着材の表面をぬらして拡がった後、固まって始
めて接着が完了します。
 液化:接着剤は一般に液体で供給されますが、固体接着剤は
加熱によって、感圧型接着剤(粘着剤)は
 軽い圧力によって、表面をぬらします。
 ぬれの悪い被着材には表面処理を施します。
 固化:表面をぬらした接着剤はその種類に応じて固体に転換
しなければなりません。
 溶剤型接着剤と水性接着剤は溶剤や水を蒸発、吸収、拡散な
どによって、ホットメルト接着剤は冷却によって、反応形接着
剤は、化学反応(硬化剤や触媒の添加、湿気、熱、光など)のよ
って固化又は硬化します。
 使用条件への適合:接着のプロセスとしては最終的な破壊に
至る領域ですが、接合部の設計、接着剤の選択及び接着工程の
管理によって支配されます。
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 以上、セメダイン系列のマルヤ通商株式会社のページより