TPP : 米国基準の押し付けか・・そして、スケープゴート?・・・

題 : TPP・米国基準の押し付けか・・
            そして、スケープゴート?・・

 榊原さんは、大蔵省時代、円高是正の為替介入や日米保険
協議など米国と渡り合ってきた人。
  元財務官・榊原英資氏(さかきばら・えいすけ)
  1965年大蔵省に入り、国際金融局長、財務官を務めた。
  1999年退官し、慶大教授、早大教授を務めた。

 TPP(環太平洋経済連携協定)をどう見ていますか?
 「金融や貿易の自由化については、賛成の立場ですが、
 TPPには問題があると感じてます。
 TPPは、
 医療、金融、政府調達など幅広い分野をカバーしており、
     単なる貿易自由化の協定ではないのです」

 「米国が、アメリカン・スタンダード(米国基準)を押し付
けてきて、日本が守るべき固有の制度が崩れてしまうのではな
いかと心配しています」

 「(1例)、日本の公的医療保険制度は米国とは違います。
 米国は基本的に自由診療で、米国の混合診療などの制度が求
められると日本の制度が崩れる可能性があります」

 「地方の公共事業も、米国とは違います。
 攻撃されるかもしれません。
 日本の制度を全面的に米国化するのには反対です」

 政府が、公的医療保険の見直しは議題になっていないと
                  説明していますが?
 「協議したことのない、経験のない人の言い方です。
 米国は、今は議題でなくても、今後、いろいろな要求を出し
てくるでしょう。(その様な交渉のしかたをする国です)。

 米国政府の後ろには、必ず、業界がついています。

 米通商代表部の人は、『米国の役人の役割は、企業のために
交渉をすることだ』と明言していました」

 TPP参加は、日本にメリットが少ないのですか?
 「すでに、東アジアは、相当経済統合し、
 日本は、サプライチェーン(部品供給などのネットワーク)
   の恩恵を十分受けています。
 日中韓東南アジア諸国連合ASEAN)の域内貿易比率は
         60%に上ります。

 東アジアの経済統合から取り残されまいと、
 『米国』と『豪州』が進めようとしているのが TPPです。

 だが、『中国』は入らないし、自由貿易協定(FTA)で先行す
る『韓国』も日本より先に入ることはないでしょう。

 この様な状況の中で、
   日本が慌てて飛び乗る必要性があるとはいえません」

 「民主党政権が積極的ですが、日米関係は大事ですが、米国
の言うことを、何でも聞くというのとは話が違います。

 TPPに乗らないから、日本は敵だとか、米国はそんな単純な
国ではありません」    (参考:朝日新聞2011・11・2)

 かつての歴史に似たような状況を・・・
 (TPP、かつての歴史にあったスケープゴートか・・)
 かつて、キリスト教社会のヨーロッパにおいて、
 「住民・大衆への貧困化傾向が起こった時」、
 また、「放浪民の増加があった時」、
 また、「食糧問題(栄養不足など)が起こった時」、
 また、「貨幣経済の混乱などの問題が起こった時」、
 また、「生産手段と技術革新が起きた時」・・・など、
 今現代と、似通った時代背景の時、

 これらの社会的もやもや=不安などの払拭を求め、
      この要因から社会的緊張が高まった。
 この様な心理的な、一種のパニック的状態になった大衆は、
 不安を打ち消すための安全弁を求めた。

 この状況の中で、ヨーロッパ社会に出て来た現象が
    「贖罪の山羊・スケープゴート」である。
 この考えは、キリスト教の求める根本的要素で、
       当時の大衆の社会的心理にマッチした。
 これは、魔女に関連した弱者である女性へのいじめに通じて
いく。
 現代における、グローバル化の社会の実現という美しい理念
(or美しい様な理念)を掲げたTPPにこの様な傾向が見い出せ
る。
(参考)スケープゴート【scapegoat】 :責任を転嫁するため
の身代わり。不満や憎悪を他にそらすための身代わり。

(追記)2012・3・13の 日経新聞の報道によると・・・
 厚生労働省は重い病気にかかっている患者に対し、国内で未
承認の医薬品を使いやすくする制度を創設する。
 がんなどが進行し、新薬の審査・承認を待てない患者に投薬
治療の機会を提供する狙い。
 治療を受ける患者の経済的な負担を和らげるため、保険診療
保険外診療を併用する「混合診療」を新制度に一部適用する
ことも検討する。
 来年(2013年)の通常国会薬事法改正案を提出し、早けれ
ば2014年度に導入したい考え。

(語意解説) 混合診療 :
 公的医療保険が適用される保険診療と、適用されない保険外
診療(自由診療)を併用する診療のこと。
 国内では原則禁止されており、保険適用外の医療行為や投薬
を受けると、本来は保険診療の対象となる検査や治療、入院費
など全額を自己負担しなければならなくなる。
 久留米大学のがん治療ワクチンなど一部の先進治療などに例
外的に認められているが、対象は約100例にとどまる。
 一部の患者団体などが「希望する治療を受けやすくなる」と
解禁を求める一方、日本医師会などは「貧富の差による医療格
差が広がる」などと反対している。