穏やかな衰退が続く日本経済。古い体質を根本的に解決しないで、日本経済の活性化は達成できない。
題: 穏やかな衰退が続く日本経済。古い体質を根本的に
解決しないで、日本経済の活性化は達成できない。
☆《その1 穏やかな衰退が・・続く・・日本経済・・・》:
経済論壇:東京大学・福田慎一教授(抜き書き):
「百年に一度の危機」と言われたリーマン・ショックから
2年が経た。
英国のエコノミスト誌(11月20日号)に「未知の領域に踏み
込む日本」と題した日本特集が掲載された。
海外メディアの日本特集といえば、以前はその成功例や潜在
的可能性に注目するものが大半だった。
しかし、バブル崩壊から20年、海外の日本に対する評価は一
変した。
今回も新卒者雇用の厳しい現状や企業の階層構造など解決す
べき課題は山積だと述べ、少子高齢化が経済の活性化やデフレ
脱却の大きな障害になっているとその内容は手厳しかった。
厳しい評価は海外の研究者の間でも一般的だ。
今の日本は没落が始まった19世紀末の英国経済に似ていると、
当時の英国よりも症状はさらに深刻だと・・。
日本に対する関心はますます希薄になっている。
日本を取り上げる場合でも、日本の様にならないためにはど
うしたらいいかという議論が大半だ。
日本経済の行く末に対する危機感は国内メディアでも強まっ
てきている。
日本経済の活性化に軸足を移した論調が多くなった印象が強
い。
日本経済が中長期的に抱える問題の深刻さが予想以上で、そ
の解決の方が遥かに急務であるという認識が広がったからだろ
う。 (日経2010・12・19)
☆《その2 穏やかな衰退が続く日本経済・・古い体質を根本
的に解決しないで・・日本経済の活性化は達成できない・・・》:
・・働いても貧困に陥っている世帯が多いと、
・・努力すれば報われる社会にするために、
・・新古典派経済学では、市場経済が完全雇用や効率的配分
を実現するとしているが、大不況がなぜ起きたのかを説明する
ことは難しい。
・・金融危機の震源地となった欧米諸国で、行き過ぎた市場
化やグローバリゼーションに対する軌道修正が必須なのは確か
だ。
・・日本型の経済システムの多くは新しい環境に対応できな
くなっている。
バブル崩壊後の「失われた20年」では従来のシステムの機能
不全が顕在化した。
古い体質を根本的に解決しないで、日本経済の活性化は達成
できないのではないか。
前出の英エコノミスト誌は、日本の穏やかな衰退を食い止め
るには、生産性の向上や女性・外国人労働者の活用など文化的
な革命が必要とし、そのためには従来のビジネスのあり方も大
きく変えなければならないと締めくくっている。
日本経済を真に活性化するには、経済システムを根本的に見
直し、新たなスタートを切らなければならないという主張だ。
日本企業の競争力の強化という観点から法人税の減税を打ち
出すなど、現政権も危機感を全く共有していないわけではな
い。
しかし、中味を見ると、目先の数字合わせが先行し、本来は
中長期的な観点から検討されるべき税制改革などが場当たり的
に論じられている印象が拭いきれない。
低迷する日本経済を活性化するため、来年こそは目先の問題
にとらわれず、明日を見据えた発展的な政策論議が活発になる
ことを望む。 (日経2010・12・19)
・・・・・・問題解決は遅々として進まない。