童謡「里の秋」について

題:童謡「里の秋」について
.
 ある意味、お父さんの戦地からの帰りを待つ
母と子の辛い状況が背後に見える哀しい歌に感
じられます。反戦歌に聞こえてきます。
里の秋、
作詞:斉藤信夫、
作曲:海沼実、
(1)
しずかな しずかな 里の秋
お背戸に木の実が 落ちる夜は
ああ母さんと ただ二人
栗の実煮てます いろりばた
(2)
あかるい あかるい 星の空
鳴き鳴き夜鴨の わたる夜は
ああ父さんの あの笑顔
栗の実たべては 思い出す
(3)
さよなら さよなら 椰子の島
おふねにゆられて 帰られる
ああ父さんよ ごぶじでと
今夜も母さんと 祈ります
.
太平洋戦争が敗戦に終わり、南方から初めて
兵隊たちが引き揚げて来る昭和20年12月中旬、
作曲家の海沼実はNHKからこれを迎える歌を
作ってほしいと依頼を受けた。
その時、海沼は、斉藤信夫が書いた「星月夜」
を思い出した。南方で戦っている父を母と子
が思っている詩だが、3番が「お父さん頑張っ
て」だったのを現在の詩に書き換えて貰い、
題名も「里の秋」として川田正子が歌い大変
評判になった。
.
 非常に感動的な事が書いてある下記の「詩人・
斉藤信夫について」を訪れてください。
http://16.pro.tok2.com/~hanachan62jp/20060410saitou.htm
 その一部抜粋:
 当時「川田」は小学5年生でした。
 昭和20年12月24日午後1時45分、この歌は
NHKの<外地引揚同胞激励の午後>という番
組で放送されました。
 4年間眠り続けた童謡がようやく日の目をみ
たのです
 川田正子が歌い終えるとスタジオ内は一瞬し
ーんと静まり返り誰もの心が浄化されたのが分
かりました。
 いえ・・敗戦にうちひしがれていた日本中の
人々の心が放送により浄化されました。
 川田正子の澄んだ唄声が皆の心に染みいるよ
うに流れた。歌い終わると辺りは時間が止まっ
たように静まり返った。
 やがて感動の呻きが遠雷のように盛り上がっ
てきて、スタジオ内は拍手の嵐に包まれた
次の一瞬からNHKへの電話が殺到しました。
 さっき放送された曲に対する問い合わせばか
りです。
 ただ一曲の放送でこれほど反響のあったこと
はNHKでも初めてのことでした。